ゆきちゃんへ

 ゆきちゃん、ニュースです! お隣の西条市に、羽のついた白いポストがあるそうです。初めてその写真を見た時、母さんは「ゆきちゃんのポストだ!」と胸がどきどきしました。
 だって、ゆきちゃんの名前を漢字で書くと「雪羽(ゆきは)」。
 ポストの白は雪の白。それに羽がついてるなんて、まさにその通りでしょう?
 そう思うのと同時に、そういえば母さんは、なぜ「雪羽」という名前をつけたのか、伝えていなかったことに気づきました。

 父さん、母さんにとって、初めての子供である、お姉ちゃんの名前は美羽(みう)。それはそれは、悩んだ命名です。
 なのに、ふたつ違いのゆきちゃんを授かった時には、あっという間に決まりました。 「雪のように、白い清らかな心でいて欲しい」という願いでした。 「きょうだいは同じ漢字を一文字使いたい」という、父さんの強いこだわりもあったし、母さんもすぐに気に入ったから、あっさりと「雪羽」という名前に決まりました。

「知的障がい」というおまけをもらって、生まれたゆきちゃん。初めて訪れたリハビリの先生に「ロマンチックな名前ですね」なんて言ってもらった時は、なんだかとても照れくさかったです。「まだ小さいから」とか「理解できないだろう」なんて思わずに、「ステキな名前なんだよ」って、ちゃんと伝えておくべきでしたね。

 わずか3歳で、天国へいってしまったゆきちゃん。6年以上たった今まで、手紙を出せなくてごめんね。ゆきちゃんのことを思いながら、言葉にしようとすると、母さんはいつも途中で泣いてしまって、その先、続けられなくなってしまってたから。
 でも、この白いポストにならきっと、ゆきちゃんに届くと思えるから、最後まで泣かずに書くことができたよ。封をしたら、美羽お姉ちゃんと、弟の来羽(らいは)と一緒に、ゆきちゃんのポストに会いに行くよ。
母さんより

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