ごめんやで‼

「カニ持って行くわ~」

えぇ~どうしたん?

「社員割で安く買えてん!」

これが最後のラインになってしもたね。

あの日から、雪が大嫌いになり本気でドラえもんが欲しいと願った一年やった。命の灯が消えかかっているのを恐くて認めたくなくて目をそらしてしまい、きちんとお別れせんかった。神様に祈ったし文句も言うてみた。

あの娘が何をしたんですか?命を奪ってまで何を伝えたかったんですか?て、返事はまだ聞けてない。なぁ、どこにおるん?どこ行ったん?幼い子二人連れて帰った時、今までの静かな生活を壊されたくなくて一緒に暮らす事を拒んでしもたね。一番に手を差しのべなあかんのに、冷たい母親でごめんな!

こんな形で突然の別れがくるとは思いもせんかった。今年、成人式を迎えた貴女の弟を学校に行くのを見送る玄関先で、必要以上に心配して「気ぃつけて行くんやで!」と声をかけてしまう。この子も居なくなりませんようにと願うと心が痛い、苦しい!

 だって、あの日も同じ様に貴女を見送ったのに家から十分足らずの場所で、貴女の笑顔は二度と見れなくなった。「行って来ま~す!」と言葉を残して…何でや!何で親より先に逝くんや!乗り越えられない試練はないて言うけど「乗り越えられへんわ!」て、ツッコミたくなる。現場には、まだ辛過ぎて足を運べへん!ごめんな!でも、いつも綺麗なお花が手向けてあるよと知人何人かが教えてくれた。

嬉しいね。有難いね。自分の感情のコントロールが上手くいかずに突然、涙が溢れ出す時がある、誰も居ない家の中で遺骨を抱きしめ大声で泣いた、お風呂の中で声をたてずに泣いたこともある。ため息が増えた一年やわ。心の穴を埋められず何もかもどうでもよくて何もする気も起こらず誰にも会いたくないと下ばかり向いてた。そんな中で幼子達は、母親が恋しいやろに哀しみを見せず笑顔でいてくれた。気付かされ少しずつ前を向く事が出来た。去年の大晦日の朝「二人を頼みます」て夢に出てきたね。あれで、やっぱり居ないんやと、やっと受け止められた。私達がボケないように幼子を遺していったんかな?二回目の子育て結構大変で、しんどいで!責任を終えたら早う迎えに来てや!一番に会いに行く!それまで沢山土産話を持って行くし頑張って生きるね。貰ったカニは今も冷凍庫の中。また、いつか会おうね!              母より

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