大好きなお父さんへ

お父さん、もう天国に着きましたか。父や母に逢えましたか。昨年七月思いもかけぬ病気が見つかり、二人で病気と戦いましたね。「ガンに効く」とあれば、何でも試したね。私の自己満足だったかも知れないけれど、よく付き合ってくれたね。今年は花見に行けないからと、子供が桜の枝を買って来て、リビングに生けてくれたね。その桜が咲き始めた頃、あなたは三度目の入院。そして亡くなった朝、病院から家に帰る車の中からは、あちこちで満開の桜の花が見えたよ。春になるとなぜか、心うきうきしていたけれど、こんな辛い季節になるとは、夢にも思っていなかったよ。今一人になって、あなたと歩んだ四十二年間の事を思い出しています。三人の子供達に恵まれ、それぞれ結婚し、孫も出来、両親も見送り、これから二人で旅行や、好きなゴルフにも行こうと言っていた矢先の事でした。病気が分かった時、あなたは主治医に、「隠さず全てを話して欲しい」と言い、余命宣告まで、受けましたね。私も辛かったけれど、あなたはもっと辛かったでしょう。私が心配するからと、気丈に振るまっていた事知ってたよ。最後の入院の時、あなたは自分が、もうそんなに長く生きられないと感じていたのか、ベッドの上で、私の頭を撫でながら「もうちょっとしたら、喋られへんようになるから、今話し、しとくわ。」と言って、いろいろ話してくれたね。「苦労かけたなあ、死んだ人の事ばっかり思って、泣いてばかりおったらあかんで、前を向いて、気丈にしっかり生きてくれ、ずっと見守っているから」と言ってくれたね。泣きじゃくる私は、あなたにしがみつきながら、「私もすぐ行くから」と言うと、「すぐに来たらあかん、お前は子供達の相談相手になってやってくれ、また孫の成長も見て欲しい」と言いましたね。そして弱々しい声で、「今度生まれ変わっても、また結婚しよう」とも言ってくれましたね。嬉しかった。私の知っている限りの言葉を使って、あなたに感謝の気持ちを伝えても、伝えきれない程、あなたにはいっぱいの愛情を頂きましたね。今は「ありがとう」の言葉しか見つからない。一生分泣いたからね。悲しみの底から、少しづつあなたの最後の言葉を胸に、あなたが迎えに来るまで、もう少しこちらで、頑張ってみようと思います。子供や孫の話をいっぱい持って行くからね。待っててね。あなたからの返事はないけれど、また、手紙書くね

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