二十歳の誕生日

お父さん、お母さん、今日は私の二十歳の誕生日です。そんな節目の日である今日、私は二人に伝えたい事があります。十二歳の時二人に癌が見つかって、お父さんは十三歳の時、お母さんは十七歳の時に天国へ旅立ちました。「どうして私だけこんな思いを」「どうして私の家族が」と何度も思いました。それでも今日まで生きる事ができたのは、お父さんとお母さんが死ぬまで、一生懸命、真っすぐ愛情一杯に育ててくれたからです。真面目で優しいお父さんに怒られた事は数える程しか無くて、常にやりたい事をやらせてくれました。お父さんは勉強が好きな人だったけど、「勉強しろ」と言った事は一度も無かったね。仕事が忙しく、疲れて寝たいはずなのに、日曜日や夏休みは遊びに連れて行ってくれ、たくさん遊んでくれてありがとう。

 お母さんにはよく怒られました。くだらないことで沢山ケンカもしました。でも、どんな日でも必ず「行ってらっしゃい」と言って弁当を持たせて送り出し、「おかえり」と言って迎えてくれたお母さん。そして、怒られた以上に沢山褒めてくれたお母さん。またお母さんに怒られたり、褒められたり、その日あった事を話したりしたいな。お母さんの作るご飯が食べたいな。

 私は今、大学生になって一人暮らしをしています。バイトで初めて働いてお金を稼ぐ事がどれほど大変な事か、自炊をして初めて毎日の食事や弁当を作る事がどれほど大変なことか。お父さんとお母さんが当たり前にしてくれていた事は、全く当たり前じゃなくてとても大変なことだと知ったよ。当たり前だと思っていた毎日の生活がとても懐かしく愛おしいです。

 何か選択に迷った時、私はよく「お父さんならどうするかな?」「お母さんなら何て言うかな?」って考えます。二人の事を考えるとヒントがもらえるから。そしてその度に、この世に居なくても育ててくれているんだなって感じます。

 今も、私の成長をドキドキして見守ってくれているんだろうと思います。安心してね。毎日一生懸命生きて、前に進んでいるよ。二人からもらった沢山の優しさや愛情を今度は私が誰かに与えられるように、頑張るね。

 一緒に過ごせた時間は短かったけど、私はこの家に生まれてくることが出来て本当に幸せでした。いつか私が天国に行った時、これまでにあった事をお話しするね。楽しみに待っててね。

大好きなお父さんとお母さん二十年間育ててくれてありがとう。

これからもよろしくね。

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